『逆転世界』 クリストファー・プリースト

逆転世界 (創元SF文庫)

逆転世界 (創元SF文庫)

このまえ読んだ『魔法 (ハヤカワ文庫FT)』がいたくおもしろかった、
クリストファー・プリーストさんの『逆転世界 (創元SF文庫)』読みおわり。

「地球市」と呼ばれるその世界は、全長1500フィート、
七層から成る要塞のごとき都市だった。
しかも年に36.5マイルずつレール上を進む可動式都市である。
そんな閉鎖空間に生まれ育った主人公ヘルワードは、
成人を迎えた日に初めて都市の外へ出ることを許された。
だがそこで彼が見たのは…月も太陽もいびつに歪んだ異常な光景だった。

これ、うえのあらすじを読んでもわかるように、
「なにゆえ都市は移動せにゃならんのか?」とか「月も太陽も歪んでるってどういうこったよ?」
といったことに重点を置いたアイデア一発勝負な雰囲気が満ち満ちている小説かと思いきや、
プリーストさん自身がこの本について、

『逆転世界』の中心的アイデアは非常に強固なものだが、
実はそのアイデア自体は3ページの短編で表現できるでしょう。
そうではなく、重要なのは、人の心をしっかりとらえる良い小説を書くことです。

と言ってるように(訳者あとがきより)、
イデアだけではなく、物語としてもしっかり読ませてくれる小説です。素晴らしいね。