『舞踏会へ向かう三人の農夫』 リチャード・パワーズ

値段が高くて(古本で買ったんだけど)分厚くて2段組みの、
リチャード・パワーズさんの『舞踏会へ向かう三人の農夫』読みおわり。

舞踏会へ向かう三人の農夫

舞踏会へ向かう三人の農夫

これ、カヴァーにも載ってる「舞踏会へ向かう三人の農夫」というタイトルの写真をめぐって、
3つの物語が順番に展開されていき、
まあ、当たり前かのように、最後のほうではその3つが重なりあい、
ひとつの像を結ぶようになっているお話で、
いや、これ、すごいわ。すごい。おもしろいかどうかはともかくすごい。
うん。あのね、おもしろいかどうかはともかくって書いたのは、
途中くらいまでかなりかったるいんですよね。実のところ。
ぜんぜんおもしろくないわけではないし、ふつうに先の展開が気になったりもするんだけど、
もうちょっとおもしろく書いてほしいなーというか、
なんていうかね、超生真面目な人が話す「昨日あった爆笑エピソード」を聞いてるみたいな、
え〜?そこふくらませるの?とか、えっ、ごめん。それを言ったんは結局だれなん?みたいなね、
エピソード自体はごっつおもしろそうなのに、話し方があんまりうまくない感じなんですよね。
でも、それも後半に入っていくに従って(3つの物語が連関しあっていくに従って)
どうでも良くなってしまうくらいおもしろくなっていきますし、
最後のほうでの3つの物語の重なりあいかたも絶妙と言えると思います。いや、すごいよ。
途中まで、うわー、かったりーなーとか思ってたのも、
最後まで読めば、あー、この人は真面目な人なんやねぇと、
息子が家に友だちを連れてきたときのオカンのような口調で言えるようになると思います。
というか、これがこの人のデビュー作らしいですし、
そこらへんがどうなっていってるのかも気になるところですね。