「ちょっとちょっと、

ここ見てみてよ。肩になんかスジみたいなんついてる」
と、ボスがたくましい肩を僕に突きだしてきたので見てみると、
たしかに肩から肘にかけて、なにか引っかいたあとのようなものが数条走っていたので、
「んー。あれちゃう?ついに肉にサシが入ってきたんとちゃう?」
と、僕が言うと、自らの肩をじっくり眺め、
「だれが霜降りやねん。だれが和牛やねん」
とひとしきり僕を叩いたあと、
ドナドナを歌いながら、ボスは向こうへ去っていきました。
いや、きっちり和牛として売られる気やんか。