「ねえ、ギャラスの夢を見たの」

と、彼女は言った。
「わたしは彼を間違いなくギャラスだとわかっていたんだけど、
まちがえて、ギャオスと彼のことを呼んでしまったの。
そしたら、彼は将棋の香車のような頭をのけぞらせて、口から火を吐いたわ。
わたしが彼のことをギャオスと呼んでしまったから。
わたしはとてもかなしくなって、すでにガナザウルスと化して火を吐きつづける彼に、
ねえ、そんなことしてたら、自分自身が燃えてしまうわよ。
味方同士で撃ち合って全滅してしまった、あのイタリアの兵隊たちみたいに。
そう言ったら、彼は火を吐くのをやめ、元のギャラスに戻ったの」


僕がお風呂にはいっているあいだに寝てしまっていたボスが、
さきほどまで見ていた夢を、お風呂あがりの僕に説明する様子を、
村上春樹的に書くとこうなります。
しかしながら、実際には、


「なあなあ、ギャラスがな、火を吐いててん。
わたしがギャラスのことをまちがえてギャオスや言うたから、
ギャラスが口から火を吐いてんで。すごない?」


というような、たいへんあれな感じ。