「どんな音楽が好き?」

という、質問にたいして、たとえば、
「なんでも好き。なんでも聞く」
という答えが返ってきたとしたら、すくなくとも僕は、
「あぁ、そう」
という返事をして、心の中でだいぶがっかりしてしまうのだけれども、
それは、僕や僕のまわりの音楽が好きな友だちの共通の見解として、
「なんでも聞くは、なんにも聞かない」
ということになっているからで、それはまあ、危ういながらもひとつの真実であると僕は思います。
でも、それでは僕のつまらない(と、自分では思ってないけど)偏見によって、
コミュニケイションの断絶、つまり会話がおわってしまう。
それはそれでかまわないと言えばかまわないんだけど、
たとえば、女の子としゃべっているときにそういうことになってしまって、
なんだか気まずい沈黙などがあたりに充溢してしまうと、
僕としてもそれはそれは非常に困るので、僕はだいたい、
「じゃあ、いちばん最近買ったCDはなに?」
とそのつぎに聞くことにしています。
これだけでもその人のなんらかの音楽的嗜好を知る手がかりとなるものです。
この質問自体がすでに前時代的なものである可能性はあるにせよ、
すくなくとも、会話をつづけることはできる。意味があるのかないのかは別として。


で、たとえば僕が、
「いちばん最近買ったCDはなに?」
と聞かれたとしたら、すこし誇らしげに、そしてすこしうれしそうに、
ビートルズのモノボックス」
と、昨日までは答えていたんだろうけど、
「ヴァシュティ・バニアンとイノセンス・ミッション」
と答えることになる今日からも、それはそれで、
ささやかながら、たしかに幸せな日々であるなと、僕は思います。

Just Another Diamond Day

Just Another Diamond Day


Now the Day Is Over

Now the Day Is Over