『夢見る宝石』  シオドア・スタージョン

ひさかたぶりのスタージョン

夢みる宝石 (ハヤカワ文庫SF)

夢みる宝石 (ハヤカワ文庫SF)


ええっと、だいぶまえに読んだ『人間以上』とほぼおんなじような設定で、
一般的に虐げられてるフリークスの人たちのお話です。
この人の書く本には、ほかの人にはないなにかしら特別なものがいつもふくまれていて、
それはなに?と言われても、なんていうか、それは微妙な舌触りのようなもので、
僕はうまく説明できないのだけれども、そのために僕はある一定期間を置いて、
この人の本を読みたくなるのです。

痛いかい?なんだか痛そうだよ。絨毯のうえの仔猫をおぼえているかい?ふたりで良くその話をしたっけ。ふかふかの絨毯、子猫はそれに深々と爪をたててのびをする。それから前足を曲げ、後ろ足をたてて、ああーん、と大きくあくびをするんだ。やがて一方の肩を下につけてごろりと横になる。指先で足をもちあげると、それは飾りふさのようにふにゃふにゃと手ごたえがなく、手をはなせば柔らかい絨毯のうえにぱたりとおちてしまう。あいつの毛がすこしもつれたところや、あんまりくつろいでしまって口が完全にしまらないので、横のほうからピンク色のかわいい舌がちらっとのぞいている様子などが、まざまざと目に浮かんでくるまで考えてごらん――そうすればもう苦しまなくてすむようになるよ。