『むずかしい愛』 イタロ・カルヴィーノ

で、僕が今日書きたかったのは、このこと。

むずかしい愛 (岩波文庫)

むずかしい愛 (岩波文庫)

いやー、これは良いねぇ。
僕たちの日常にもある(かも知れない)、あれっ?っていう瞬間を、
そのまま流してしまったりせずに、
押しすすめていくとこういうことになんだろうなーっていうね、
そういう瞬間のドラマというか、そんなところを非常にていねいに描いた短篇集です。
っていうか、眠くて自分でもなに書いてっかわかんなくなってきたので、

手で重さを量ってみる。ずっしりと分厚くずんぐりとしている。
ちょっと不安な気持ちでページ数や各章の長さをためつすがめつしてみる。
それから書物の中にはいっていく。最初はちょっと気乗りがしない。
いろいろな名前を頭に入れるという最初の苦労に打ち勝つ意欲がわかなくて、
物語の筋がつかめないのだ。それから安心して一行一行をさまよいながら、
変化のないページが織りなす模様を横断していくと、鉛の活字の向こうには、
そう、兵火や戦火、そして空中をうなりをたてて飛んできて、
アンドレーイ皇子の足下で破裂する砲弾が現れてくるのだった。
――中略――ページの表面の向こうにある人生が、
こちらの世界より遥かに人生らしい世界に足を踏み入れることになるのだ。

この引用にグッと来たら読んでみても良いのではないでしょうか。
全ページにわたってこんな感じですしね。おもしろいよ。