『死者の書』 ジョナサン・キャロル

死者の書 (創元推理文庫)

死者の書 (創元推理文庫)

いや、これはおもしろいわ。

ぼくの目の前で少年がトラックにはねられた。事故のあと町の人間が聞いてきた。
「あの男の子、はねられる前は笑ってました?」笑って?……
ここはアメリカの小さな町。一人の天才作家が終生愛した町。
ぼくは彼の伝記を書くために逗留している。でも知らなかった。
この世には行ってはならない町があることを。

あらすじはおおむねこんな感じなんだけど、ほんと良くできてる。
とてもこれがデビュー作とは思えないできの良さです。
「どんなに綿密な調査、詳細な資料にもとづいて書かれていようとも、
伝記が伝記である以上、それにはいっぺんの真実もふくまれていない」
という信念のもと『オーランドー (ちくま文庫)』を書いたヴァージニア・ウルフさんに読ませてあげたいよね。
いままで知らなかった、とびっきりおもしろい小説を書く小説家を見つけることは、
いつだって素敵なことですよね。ほんと。