書くの2度目の『コレクター』 ジョン・ファウルズ

で、昨日はこれも読みおわってたんです。ジョン・ファウルズさんの『コレクター』


これはね、なんの前情報もなしにあらすじも知らずに読みはじめたもんだから、
読むまえまでは、
「おたがいにこいつには負けられんとライヴァル意識むき出しのあるもののコレクターふたりが、
世界にひとつしかないといわれる逸品を探して世界中を駆けずりまわる。
しかし、お宝を追い求めていくうち、そのお宝のおそろしい秘密が明かされる」
みたいなお話だと勝手に思ってたんだけど、ぜんぜんちがったね。
クリストファー・プリースト的お話だと思ってたんです。イギリス人だし。


で、実際の『コレクター』はというとですね、
カフカさんの小説の主人公みたいな、蝶の収集を趣味とする青年と、
若くて美人の美術学生のお話。
すごいよ、これは。すごい。かなり異常なお話で、
ラストもずっしりと重く冷たいんだけど、物語として素晴らしい。
しょうみの登場人物は上に書いたふたりしかいないと言っても良いと思うんだけど、
お話のなかに直接は登場しないG・Pっていう画家が、
このふたりよりも人として圧倒的に現実的で血が通っているというのが、
この物語の素晴らしいところでもあり異常なところですよね。おもしろかったです。